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Twitterは自滅への道を歩み続けるのか

数日前から,Twitterが一部のサードパーティクライアントに突然機能規制をかけ,"また"協力サービスへの締め付けを強化したようだと話題になっているようです.私の愛用しているKuroTwiも規制を受けているようで,不便な思いをしています.

Twitterはここのところ頻繁に,協力サービスに対する締め付けを始めとする強硬な措置を講じてきました.こうした対応の背景には,Twitter社の収益に関する問題や横行するスパムへの対策ということがあるのでしょうが,こうした動きへ不平を漏らす反応がネット上Twitter内外で数多く見受けられます.

本記事では,Twitterがこれまで具体的にどのような対応をとってきたのか,そしてそうした対応が実際にどのような影響を与えているのかなどを簡単にまとめてみました.

加速するTwitterの強硬措置

2006年にサービスを開始したTwitterは徐々にユーザー数を増やし,巨大化していきました.Twitterの強硬な姿勢が顕著化したのは月間アクティブユーザー数が1億4000万を超えた2012年の3月以降のことです.

2012年6月 ユーザー数10万人制限発表

TwitterはAPI v1.1への改訂の際に,一つのサードパーティクライアントのユーザー数は原則として10万以下に抑えなければならないという制限を設定しました.

これにより,ユーザー数が上限に達したいくつかの人気クライアントでは,新たに利用を開始したいユーザーが使用したくても使用できないという事態が発生することになりました.

2014年10月 Twitpicが事実上閉鎖

初期のTwitterには写真の投稿機能がありませんでした.そこで,TwitterユーザーはTwitpicなどの画像共有サイトを利用してTwitter上で写真を取り扱っていました.画像付きツイートの可能性はユーザーから高く評価され,Twitpicは多くの人に利用されるようになりました.

やがて,画像付き投稿への需要の高さからか,Twitter自体が写真付き投稿をサポートするようになります.こうなると,TwitpicはTwitterにとって不要な協力者となり,むしろサービスの競合相手ということになってしまったわけです.Twitter社はその後,Twitpicに対し商標上の問題から圧力をかけ,これを事実上の閉鎖へと追い込みました.

2014年12月 一時的に電話番号の登録を必須化

2014年の12月,Twitterは突如アカウントの新規登録時に携帯電話番号の登録を必須としました.最終的に,これは単なる機能のテストだったということがわかり,現在では携帯電話番号を登録せずともアカウントの新規作成が可能ですが,一瞬とはいえ多くのユーザーを失望させました.もしこの携帯電話番号の登録が本当に義務化された場合,1人で複数アカウントを持つことが困難となり,多くの熱心なTwitterユーザーに打撃を与えることになるからです.

2015年5月 今回の機能規制

冒頭で述べたように,数日前からは一部のクライアントアプリケーションに対して事前警告なしの機能規制がかけられているようです.具体的な規制対象クライアントは以下のサイトにまとめられていました.

軽視される利用者の利便性

以上の一連の対応は,どれも一定のユーザーや開発者にとっては著しくその利便性や開発意欲を低下させるものばかりでした.

サードパーティクライアントへの締め付け

特に顕著な傾向は,他のサイトでもしばしば言及されていることですがサードパーティ製のアプリを締め付けて公式アプリのシェアを向上させようとする傾向です.これについてTwitter側は「ユーザー体験の一貫性を保つため」と主張しているようですが,実際のところは公式アプリでの広告収入増加を目論んでいるとしか思えません.

Twitter社も企業である以上は利益追求を行う必要がありますし,それ以外にも過激なアカウントやスパムへの対策として一定の措置を講じる必要があることは間違いありません.私のような部外者では思いつかないような内部事情もあることかと思います.しかし,最近のTwitter社の動きは,Twitter利用者の利便性が二の次にされ,あまりに軽視されている感がぬぐい切れません.

確かに,Twitterの公式アプリやウェブは日に日に機能を強化していて以前よりは格段に使いやすくなりました.とはいえ,1億人が使用して1億人が満足するアプリなどというのは恐らく開発不可能でしょう.細かいニーズに対応するためにはサードパーティに頼るしかありません.そうした協力サービスをどんどん締め付けていってしまうのでは,ユーザーの利便性が低下するのは当然です.

テスト機能の強制適用

また,さきほど言及した一時的な電話番号の登録必須化のような,新機能のテストを突然問答無用で押し付けてくるような態度も私は気に入りません.これは,特に携帯端末向けの公式アプリでは日常的に行われており,無作為に選択されたアカウントに対して強制的に新機能が適用されます.

こうした新機能は必ずしも使いやすいものでないにも関わらず,事前の通告や選択の余地なく適用されるのは迷惑と言わざるを得ませんし,なによりさきほどの「ユーザー体験の一貫性を保つため」との言い分と一貫性が保てていません.自己矛盾によりロジックが崩壊しています.

失速するTwitter人気

前節までで言及した様々なTwitterの利用者を無視した対応の影響は,実際Twitterの収入や人気度に影響を及ぼしているのかどうか,調べてみました.

株価は下落中,ユーザー数も伸び悩み

私は株については詳しくないのであまり詳しく分析することはできませんが,株価が下がるということは少なくともそれほど利益を上げておらず,市場から期待されてもいないということを意味するのだと理解しています.また,下の記事を読む限りTwitterのユーザー数も思うように増加してはいないようです.

これだけの情報から,上で述べたようなTwitterの対応が悪影響を及ぼしていると結論付けるのは短絡的と言えるでしょうが,少なくともそれらがプラスに作用していないことは間違いありません.

少々強引に公式アプリの利用者を増やして広告収入を増やす目論見があったと思われるわけですが,実際には業績が劇的に改善したというわけでもないようです.ユーザーの利便性低下によるTwitter離れの影響でしょうか.いずれにせよ,「ユーザーの利便性を低下させた」という結果だけが残っているように思えます.

ユーザー数が伸び悩む理由は,特に国外事情についてはさっぱりわかりませんが,ユーザーの満足度が下がるというのはユーザー獲得の戦略上,不利になることはあっても有利になることはないはずです.

そうした意味で,こうした結果はある程度Twitterの自業自得という側面があることを否定出来ないのではないかと思います.

関心度も低下している

下のグラフは,GoogleトレンドでTwitterの全世界における検索量推移を調査したものです.

Twitterが強権を発動するようになった2012年の12月にピークを迎えて以来,検索量が右肩下がりとなっていることが伺えます.現在では検索量がピーク時の半分近くまで減少しています.

もちろん,Twitterの知名度が十分に上昇し,多くの人がブックマーク登録するなどしてTwitterをGoogleで検索することが減ったというだけの可能性も考えられます.しかし,2012年以前についてもよくTwitterのサイトを訪れるユーザーはブックマーク登録等を行っていただろうと考えられ,その後それだけが理由で検索量が半減するほどブックマーク事情が変化したとも思えないのである程度「関心度が低下している」と結論付けることにはそれほど無理がないのではないかと思われます.

どうなる? Twitterの将来

なんだかんだと述べてきましたが,Twitterのユーザー数はいまのところまだ減少に転じているというわけでもなさそうです.かくいう私も,今でも普通にTwitterを利用し続けています.

しかし,このままTwitterが同じ態度であり続けるのであれば,いずれユーザーからそっぽを向かれる日が来るのではないかと思います.私自身,この調子で利便性が低下し続けるのであれば,どこかのタイミングで利用量が減少していき,いつかはまったく利用しなくなるような気がしてなりません.これは単なる私の想像というだけではなく,先ほど示したデータの傾向からも導き出せる結論です.

Twitterは,改めて言うまでもないことですが他に有力な類似サービスのないとても優良なサービスだと思います.私もこれまで散々愛用してきた経緯があります.できることならこのまま便利なサービスとして成長し続けて欲しいです.そのためにも,いまこそTwitterはユーザーと真摯に向き合い,その利便性を損なわないサービスの運営を考えていって欲しいと願っています.

2015/06/03 追記

2015年6月3日現在,先月末に規制された多くのクライアントの規制が解除され,多くのアプリケーションが元通り正常に使えるようになった模様です.KuroTwiが通常通り使用可能になったことは私も確認いたしました.

また,今回のクライアント規制はTwitterが意図的に行ったものではなく,自動システムの誤動作だったとする情報が新たに入りました.Twitterは思ったほど急速に自滅へと向かっているわけではないかもしれません.