0番染色体

科学は全世界を照らす光である

初学者におすすめの生物学入門書7選

昨年,大学の教養の授業に「生命科学」という講義があったため,何人かの友人から「生物学の手頃な入門書って何?」という質問を受けました.そして,これが意外と答えに窮する質問で,自分は自信をもって推薦できる初学者向けの生物学の入門書を知らないということに気づきました.

そこで最近,私は書店や図書館で30冊以上の生物学入門書を手に取り,あれこれと比較を行ってみました.今回は,その中で私が良いと思ったものを厳選して紹介することにします.

「初学者」といっても,生物に興味をもつ中学生や高校生,教養ではじめて生物に触れる大学生,あるいは社会人になるまで触れてこなかったが今から生物学を始めたい人など,色々なケースがあるはずです.選考にあたってはこの点を考慮し,それぞれが趣きの異なった特徴をもつものを配列するよう工夫をしました.

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巨大ウイルスから考える「生物の定義」と「真核細胞進化の謎」

はてなブログの今週のお題は「最近おもしろかった本」だそうですが,たまたま数日前に読み終えた本が大変興味深いものであったので,今回はこのトピックに沿ってその本の書評記事を書きたいと思います.たまにはこうやって「お題」に乗ってみるのも悪くないでしょう.

さて,ということで今回取り上げる本はこれです.

ブルーバックスです.だいぶ久しぶりに手に取りました(そもそも縦書の本が久しぶり……).というのも,私は元々ウイルス学に興味を持っている上に,この巨大ウイルスに関するテーマは「生物とは何か」という生物系の人間ならおそらく誰もが一度はぶち当たる大問題に一石を投じる大変興味深いものであるため,書店でこの本を見かけたときに自然と手が伸びてしまったのです.

では早速,この本を読んで私が考えたことや思ったことを書き綴っていくことにします.

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生物系のためのLaTeX関連ツール

今回は TeX & LaTeX Advent Calendar 2014 の17日目の記事として投稿しています.昨日は CardinalXaro氏 でした.明日は ZR氏 (2回目)の予定です.

「 TeX/LaTeX 初心者大歓迎 」という言葉を真に受けて,勢いで参加してしまいましたが本当に良かったのでしょうか……なにはともあれ,今年のテーマは「このパッケージがスゴイ!」ということだそうですので,生物系のLaTeXユーザーという希少価値の高いポジションを活かして「生物系のためのLaTeX関連ツール」をいくつかご紹介することにいたします.

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THE CELL 第6版を購入 ― 第5版との比較

Molecular Biology of The Cell(通称:THE CELL,邦訳書名:細胞の分子生物学)といえば有名な分子生物学の教科書ですが,私はこれまで中3のときに購入した第5版(邦訳)を使用してきました.かねてから原書が欲しいとは思っていたものの,第6版が近々刊行されるということだったので,つい最近までその状況を長引かせていました.

そのような状況の中,この前の木曜日にみなとみらいのパシフィコ横浜で開催されていた日本分子生物学会の展示会場で来年1/12発売予定の第6版(原書/ペーパーバック版)を先行販売しているのをみつけたので,購入しました.

Molecular Biology of the Cell

Molecular Biology of the Cell

  • 作者: Bruce Alberts,Alexander Johnson,Julian Lewis,David Morgan,Martin Raff,Keith Roberts,Peter Walter
  • 出版社/メーカー: Garland Science
  • 発売日: 2014/12/02
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る

第6版はまだ購入したばかりなので,あまり読み進められていませんが,現在時点で私が把握しているこの新しいTHE CELLの第5版からの変更点をまとめてみようと思います.

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薬の科学:口内炎に「貼る錠剤」

先日,新学期が始まって久々に外食が増えたせいなのか,口内炎ができてしまいました.それも今回はかなりこじらせてしまったようで,食事するのが嫌になるぐらいにの痛みだったので,薬を使うことにしました.

こうして薬局に行ってみつけたのが,この記事のタイトルにある,口の中に「貼る錠剤」でした.口内炎の薬といえば軟膏だと思っていたため,個人的にちょっと意表を突かれました.それで興味をもったので,今回はこの薬について簡単に考察してみようと思います.

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